「下痢をしているけれど、ご飯はあげていいの?」——犬の下痢でいちばん迷うのが、この点ではないでしょうか。元気があって水も飲めているなら消化にやさしいものを少量から、が基本です。ただし与え方にはいくつかコツがあり、状態によっては食事より受診を先にすべき場合もあります。
まず、ご飯より受診を考えたほうがよいとき
次のような様子があるときは、ご飯を工夫して様子を見るより先に動物病院へ行ってください。
- 🔴 吐こうとしているのに吐けない・空えずきをくり返す+お腹が張っている(胃拡張・胃捻転のおそれ。夜間でも救急へ)
- 🔴 何度も吐く、下痢や嘔吐が24時間以上続いている
- 🔴 血便や、黒くタール状の便が出る
- 🔴 ぐったりしている、水も飲まない
- 🔴 子犬・超小型犬で、震え・ぐったりがある(低血糖のおそれ)
- 🟠 子犬・老犬・小型犬で、急に元気がない・下痢をくり返す
これらに当てはまらず、元気も食欲も保たれている場合に限り、次の与え方の工夫を参考にしてください。判断に迷うときは、かかりつけの獣医師に電話で聞いてみるのがいちばん確実です。
与え方の工夫
下痢のときは「何を」だけでなく「どう与えるか」も重要です。
1回を少なく、回数を分ける
一度にたくさん食べると消化管に負担がかかります。1回量を減らして回数を増やす「少量頻回」——いつもの量を2〜3回に分けるイメージです(獣医栄養の分野で急性の下痢に一般的にすすめられている方法です)。
消化にやさしいものを選ぶ
脂肪分が多いものは消化の負担になりやすいため、下痢のあいだは脂肪控えめで消化のよいものを選びます。何が適しているかは状態によって異なるので、下痢が続く・くり返すときは受診時に相談してください。
ぬるめ・常温で
冷たいものはお腹を刺激することがあります。常温か、ぬるめにして与えてください。
水をいつでも飲めるように
下痢では水分がどんどん失われます。新鮮な水をいつでも飲める状態にしておいてください。水も飲まない・飲んでもすぐ吐く場合は脱水のサインです。受診を。
避けたいこと
- 脂っこいもの・味の濃いもの:消化に負担がかかりやすい
- 急に大量に与える:落ち着いてきても、一度に元の量へ戻さない
- 犬に有害な食材:玉ねぎ・ねぎ類・ぶどう・レーズン・チョコレート・キシリトールなどは少量でも危険なので絶対に与えない
- 自己判断での療法食:症状が続く犬向けのフードは獣医師の指導のもとで使うものです。気になる症状が続くときは受診してください
ご飯を元に戻していくタイミング
便の状態が落ち着き、元気が戻ってきたら、いつものフードを少量から、回数を分けて再開します。一度に元の量へ戻すと再びお腹を崩すことがあるため、数日かけてならしていきます。ただし、子犬・老犬・持病のある子で悪化したときや、血便・くり返す嘔吐をともなうときは、戻して様子を見るより受診を先に。
下痢をくり返すときは、まず受診で原因を確かめるのが先です。そのうえで異常がなく、フードを変えるたびにお腹を壊すなら、日常のフードを消化にやさしいものへ見直す価値があります。あわせて給餌量が体に合っているかも確認してください。与えすぎがお腹のゆるさにつながっていることもあります。
下痢と食事の全体像(原因の見分け方・便の色の見方・フード選びの視点)は、犬の下痢・軟便と食事でまとめています。
参考にした主な情報源
- Merck Veterinary Manual(消化器疾患の項)
- WSAVA(世界小動物獣医師会)グローバル栄養ガイドライン
本記事は一般的な情報であり、診断・治療に代わるものではありません。気になる症状が続くときは、かかりつけの動物病院にご相談ください。
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