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涙やけが気になる犬のドッグフードの選び方|食事でできること・できないことの整理

最終更新:2026年6月13日
涙やけが気になる犬のドッグフードの選び方|食事でできること・できないことの整理のイメージ

目の下が涙で湿り、被毛が茶色く染まる——いわゆる「涙やけ」は、ポメラニアンやトイプードル、マルチーズなど被毛の白い小型犬でとくに目立ちます。「フードを変えたら治った」という声をSNSで見かけ、食事の見直しを考えている飼い主さんも多いでしょう。

先にはっきり伝えておきたいことがあります。涙やけの原因のいくつかは食事とは無関係で、食事を変えても変わらないケースがあります。そしてフードより先に受診が必要なサインもあります。まずはその線引きから押さえ、そのうえで食事面で見直せることを見ていきます。

涙やけはなぜ起きるのか

「涙やけ」という言葉は二つの現象が重なっています。ひとつは「涙の量が増えること(流涙)」、もうひとつは「その涙が目の外にあふれて被毛に染み込むこと」です。

涙は本来、目の内側の「涙点」という小さな開口部から入り、「鼻涙管」という細い管を通って鼻の奥へ流れていきます。この通り道が細い・詰まっている・あるいは目の周りのまつ毛や皮膚のひだが目に刺激を与えている——といった構造的な理由で、涙があふれやすくなります。

涙には「ポルフィリン」という色素が含まれており、あふれた涙が被毛に染み込んで時間が経つと茶〜赤褐色に着色します。この変色には酸化や湿潤環境・細菌・Malassezia酵母などの関与が指摘されていますが、詳細な機序は研究が続いている段階です。着色が濃くなりやすいのは涙があふれている時間が長い場合です。

涙があふれる主な原因として獣医学的に挙げられるものを以下に整理します。

  • 鼻涙管が先天的に細い・短頭種(フレンチブルドッグ・シーズーなど)で管の走行が屈曲している
  • まつ毛が眼球に触れている(睫毛乱生〔しょうもうらんせい〕・異所性睫毛〔いしょせいしょうもう〕——いわゆる逆さまつ毛の一種)
  • 目への慢性的な刺激(ほこり・煙・乾燥)や目の炎症・感染症(結膜炎など)
  • 食物や環境へのアレルギー反応(一部の犬で関与が報告されますが、根拠は確立途上です)

このうち鼻涙管の構造やまつ毛の向きは、食事で変えることができません。

食事で変わること、変わらないこと

食事で変えられないこと: 鼻涙管の形状・まつ毛の向き・短頭種の顔の骨格。これらは体の構造であり、どんなフードを選んでも変わりません。「フードを変えたら涙やけが消えた」という体験談は否定しませんが、それは食事が「構造を治した」のではなく、食事の変化・ケア方法の変化・自然な経過など、複数の要因が絡んでいる可能性があります。

食事が関わりうること: 一部の犬では食物アレルギーや不耐症が目への刺激・涙の増加に関係しているケースが報告されています。ただしこれは確立した根拠に基づく話ではなく、個体によって大きく異なります。食事の見直しが手がかりになる可能性はありますが、断定はできません。

つまりフードの見直しは「涙やけを治す手段」ではなく、「体への負担を減らす日常のケア」として位置づけるのが正確です。

こんなサインがあれば、フードより先に受診を

涙やけは多くの場合、見た目の問題です。しかし次のような変化があるときは、目の病気や炎症、感染症が隠れている可能性があります。フードの見直しより先に、動物病院で目そのものを診てもらってください。

  • 🟠 涙や目やにが急に増えた(これまでと明らかに量が違う)
  • 🟠 目が赤い・腫れている・目の周りの皮膚が炎症している
  • 🟠 目やにが膿んでいる・黄緑色・においが強い
  • 🟠 目をしょぼしょぼさせる・目を足でこする・痛がる様子がある
  • 🟡 以前より涙が増えた感じがするが、目への刺激は変わっていない

上記の受診サインは、獣医学的に一般的とされる目安を編集部がまとめたものです。個別の症状の判断は実際の状態や年齢によっても変わります。必ずかかりつけの獣医師にご確認ください。

飼い主

3歳のマルチーズで、以前から涙やけはありましたが、ここ1週間で目やにが急に増えた気がします。フードを変えようと思っていたのですが。

編集部

急な変化がある場合は、まずフードより目そのものを診てもらうことをおすすめします。目やにが急増したときは、結膜炎など目の感染症が起きている可能性があります。フードの見直しは、目の状態が落ち着いてからでも遅くありません。

食事の面で見直せること

受診で目の問題が排除された、あるいは以前から涙やけはあって目の状態自体は変わっていない——そのうえで食事を見直すなら、次のような視点が一般的な手がかりになります。

原材料表示の先頭に何が来るか

原材料表示は配合量の多い順に記載されています。最初に来るのが肉・魚などの動物性たんぱくであるかを確認します。「総合栄養食」の表示があるかも一つの確認ポイントです。体に合いにくい原材料が多いと全身の調子に影響することがあるとされていますが、原材料表示だけで消化性や品質を断定することはできません。

添加物の構成を確認する

着色料・香料など嗜好性のためだけの添加物が少ないと、何が合う・合わないかを追いやすくなります。ただし、添加物が多い=安全でない・体に悪い、とは限りません。添加物の種類や量は環境省ペットフード安全法の基準に則って使用されており、有無だけで判断しないことが大切です。

小型犬向けの粒の設計か

涙やけが目立ちやすいのは小型犬です。口に合うサイズの小粒で、少量でも必要栄養を満たせる設計かどうかも、毎日続けるうえで大切です。小型犬向けのフード選び全般は小型犬のドッグフードの選び方もあわせて参考にしてください。

皮膚トラブルも気になるなら

涙やけと皮膚のかゆみ・赤みが同時に気になる場合、食物アレルギーや食物不耐症が関係しているケースがあります。この場合は低アレルゲンフードへの変更が選択肢になることがありますが、自己判断での原因特定は難しいため、受診して確認することをおすすめします。皮膚症状と食事の関係は犬の皮膚トラブルと食事でも整理しています。

飼い主

涙やけ向けのフードを調べると種類が多くて迷います。何か決め手はありますか?

編集部

「涙やけ専用」という表示はあくまでうたい文句であり、成分でどれだけ差があるかは公式情報を見るまで分かりません。それよりも、主原料が良質な動物性たんぱく・添加物が少なくシンプル・小型犬向けの粒のサイズ、という3点を軸に見ると候補が絞りやすくなります。

フードを切り替えるときの目安

良いフードでも、急に変えるとお腹を崩すことがあります。いまのフードに新しいフードを少しずつ混ぜ、7日ほどかけて割合を増やしていくのが一般的な目安です。

涙やけの変化はフードの切り替えですぐに現れることは少なく、数週間以上かけて様子を見ることになります。涙の量・目やにの状態・便の様子をあわせて観察しながら続けます。変化がない、あるいは悪化するようなら、フードの問題よりも別の原因が関わっている可能性があります。

ただし、目への急変(涙・目やにが急増した、目が赤く腫れた、しょぼしょぼする・痛がる・においが強い)があるときは、様子見を続けず早めに受診してください。また、子犬や老犬、持病のある犬、あるいは切り替えの途中で食欲や元気が落ちる・体調が崩れたときも、数週間を待たず早めに受診してください。「数週間様子を見る」のは、目も体調も安定している場合の話です。

候補となる一般フードの比べ方

涙やけや小型犬向けをうたう一般プレミアムフードはいくつかあります。各商品の詳細(成分・価格・実績)は公式情報を確認でき次第掲載します。現時点では、次の観点で候補を比べると選びやすくなります。

比べる観点確認できること
主原料原材料表示の先頭に肉・魚が来るか。「総合栄養食」の表示があるか
添加物の構成着色料・香料などが入っているか(有無が安全性の直接指標ではないが、シンプルな構成は合う・合わないを追いやすい)
粒の大きさ小型犬の口に合う小粒か
原材料の構成合わせて確認したい原材料が含まれていないか
試しやすさ少量から始められるか、毎日続けられる価格帯か

給餌量も見直す

フードの質と同じく、与える量も全身の調子に影響します。体重・年齢・避妊去勢の有無から1日の目安量を給餌量・カロリー計算ツールで確認しておくと、フードを切り替えるときの基準になります。

なお、気になる症状が続く犬向けの「療法食」は獣医師の指導のもとで使うもので、このサイトでは扱っていません。涙やけ以外に皮膚・消化器症状が続く場合は、まず受診してください。


参考にした主な情報源

  • Merck Veterinary Manual(眼・鼻涙管/結膜炎などの項)
  • VCA Animal Hospitals(涙やけ・流涙に関する一般解説)
  • WSAVA(世界小動物獣医師会)グローバル栄養ガイドライン(フードの切り替え方法について)

本記事は一般的な情報であり、診断・治療に代わるものではありません。気になる症状が続くときは、かかりつけの動物病院にご相談ください。

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